自動売買システム構築記録

検証で分かったこと

うまくいかなかったことを含めた記録です。同じ検証をやり直さないために残しています。

判断ロジックに優位性が見つかっていない

USD/JPYの10年分(17,538本の1時間足)で検証した結果、 移動平均クロスもAIによる判断も、売買方向をコイン投げで決めた場合と成績が変わりませんでした。

手法取引数勝率
ランダム(コイン投げ)3,00039.2%
移動平均クロス1,07239.2%
AI判断(TypeSafe Jev)27338.8%
損益分岐点(理論値)40.0%

勝率は損切り幅と利確幅の比率だけで決まっており、エントリーの根拠は結果に影響していませんでした。 理論値をわずかに下回る差が取引コストで、売買するほど確実に減ります。

AIの確信度は「行動してよいか」を意味しない

AI判断エンジンの確信度が低いことを「判断できていない」と解釈したのは誤りでした。 実際には方向はほぼ正確に当てており(上昇局面で「売り」の確率は0.01)、 確率が「買い」と「待機」に割れることで数値が下がっていただけでした。

「方向が分からない」のではなく「方向は分かるが、今入るべきかは微妙」という意味です。 これを取り違えると、どんな相場でも取引しないシステムになります。

損切り注文は急変から守ってくれない

2024年の為替介入を実データで確認しました。1時間足1本で最大461pips動いており、 損切り注文は指定価格では約定せず大きく滑ります。

項目実測値
1時間足の値幅(通常時の中央値)19 pips
1時間足の値幅(最大)461 pips
200pips超の急変(2.5年間)19 回
直前に予兆があった割合32%

7割は無風から突然発生します。ある介入では、直前の平均変動幅9.6pipsに対して 327pips(34倍)が来ました。予測は困難です。

したがって主たる防御は「検知」ではなく建玉の大きさです。 最悪の滑り幅を想定し、それでも耐えられる数量に制限しました。 これにより最悪ケースの損失が想定の1日上限内に収まることを、19件すべての事例で確認しています。

机上のテストでは見つからない不具合がある

テストが通っていても、実際に動かす場面を想定して初めて見つかる問題がありました。

いずれも「実際に使う場面を具体的に考える」ことで表面化したものです。 安全機構は、作っただけでは機能しているか分かりません。

今後の方針

優位性の探索より先に、システムが正しく動くことの確認を優先しています。 土台が正しく動く保証がない状態で売買ロジックを最適化しても、 過去のデータに数字を合わせ込むだけになるためです。

検証の結果、優位性が見つからなければ動かさないという判断も合理的だと考えています。